人生はビギナーズを観て
 

マイク・ミルズの「人生はビギナーズ」、映画館で見逃してDVDで。
明るいアメリカ映画なのだと思って前半観ていて、その割に淡々としかストーリーが進まないのでこれは駄作かと思いきや、実は「ツリー・オブ・ライフ」のように、主人公の心の移ろいを丁寧に映し出している映画であることに気づいて、そこから感情移入して、最後には深く感動してしまった。
映画の中では心情を表すところでピアノが静かに流れていて、この効果が素晴らしい。
写真、絵などの挿入もとてもきいている。

主人公の喪失感と孤独感はかなり強くて、30代の後半になって家族もいて満ち足りているといっても過言でない今の僕には、その感情をすんなり思い出せなかった。多分、この映画、20代の後半に観ていたら、自分への問いかけの映画になっていたかもしれない。
人との関係がうまくいかないようにしか、ふるまえない、という悲観的な主人公の性格は、すべて子どものときからの、孤独だけど気丈夫な母親との友人のような関係の中で成り立っているものだ。

なんとも傷つきやすい繊細な主人公の心模様なのだが、だからこそ、人の心の機微がわかるのだと思う。人に心がわからなかったら、周りに対して優しくあることはできない。だから、僕はある時点でビギナーであることも大事なんだと思うよ。

| 映画| 00:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

m11016「ツリー・オブ・ライフ」 今、この瞬間を生きている奇跡
 テレンス・マリックの「ツリー・オブ・ライフ」を観てきました。
人がこの世に生を受けて生きるということは、愛情や嫉妬、思いやり、反発・・・の集積によるものなのだということを、感覚で捉えさせようとしている映画でした。
写真展で写真を眺めているのに近い映像体験です。美しい映像のなかに身をゆだねているうちに、それが主人公が生まれてからの心の揺れ動きを体験していることに気づかされます。母親への愛情の深さには、とても感動しました。

映画館を出た後、自分の感覚がまったく変わってしまったことに気づきました。今この一瞬を生きていることが奇跡のように思いました。
僕にとっては、今年No.1の映画になりそうです。
| 映画| 08:21 | comments(0) | trackbacks(0) |

m11004「ソーシャル・ネットワーク」 ネットのなかで隠し通せない孤独と自己顕示欲 ★★★
 


仕事帰りに吉祥寺のリゴレットで妻と待ち合わせて、軽くイタリアン&ワインしてから、デヴィッド・フィンチャーの「ソーシャル・ネットワーク」を観てきた。
そもそも、ソーシャル・ネットワーク・サービスは人と人をつなぐツールであるはずなのに、創業者自身は孤独であるというのが逆説的だ。
彼がそうした人と人のつながりを求めていたからこそ、こうしたサービスを求めていたのかもしれない。
だけど、ビジネスを進めれば進めるほどに、周囲の人と亀裂が走っていき、彼はそれを修復する術を知らない。
ネット時代だからこそ、人間関係が破綻していても、ビジネスは成長し続けられるということなんだろうか。

また、人はビジネスの流れのなかにいると、どんどん自己顕示欲が強くなって、その快感に酔いしれてしまうように、この映画を観て感じた。理念というものを掲げても、それ以上に自分のなかで膨らんでいく欲望を抑えるのはかなり難しい。
この映画はそれを客観的に捉えているようにも思えた。

この映画自体、恐らく、フェイスブックの協力な広報ツールとなっていくけれど、同時に自分たちの弱さを公開していくことにも繋がっている。
今や、どのような情報も隠しとおすことはできない。ならば、すべてを公開して、そこから何が生まれるのか確かめてみよう、そんな時代なのかもしれない。
フェイスブックにも、創業者たちにも、従来の価値観では図りきれない価値観と度量の大きさとパワーを感じた。

| 映画| 00:45 | comments(0) | trackbacks(0) |

m11003「シングルマン」 生の極致、美の極致 ★★★

土曜日に下高井戸シネマでトム・フォードの「シングルマン」を観た。

まったくノーチェックだったのだが、勝手に敬愛している「BLOG IN PREPARATION」で紹介されている記事を読んで、you tubeでチェックしたら、映像の美しさにこれは見なきゃとなった。

トムフォードの美的感覚には、最初から最後まで恐れ入る。
スローモーションでの映像や、相手の瞳の奥に何かを感じ取る感覚には、身震いを覚える。
もし、こんな感覚で毎日を過ごしているのだったら、その感覚の喜びよりもむしろ苦しみのほうが大きくなってしまうだろう。
主人公にとっては、このような素晴らしい感覚が残っていてもなお、それ以前の満たされた情愛を失ったことへの喪失感のほうが大きい。
死に装束まで用意して、すべてを美のままに葬り去ろうとする潔さは、日本の切腹的な美しさに相通じるものがある。

しかし、最後の最後、死を目前にして、感じ取った生を貫く感覚への興奮と高ぶり。
海へ飛び込むときに感じる生への発露。
すべての感覚がクリアになって、これならば彼は生きられると思うのだが、運命とはなかなか自分の思うどおりにはいかないものですね。

なんとも素晴らしい映画を見ました。

| 映画| 22:25 | comments(0) | trackbacks(0) |

m10015 短編アニメーション
10月1日の映画の日の夜に、妻の同僚のMさんに誘われて、吉祥寺の短編アニメーションを観に行った。
本当は、Mさん、Mさん妻、僕、妻の4人で見るはずだったが、仕事でMさんと妻が遅れたために、僕はMさんの奥さんと二人で観た。
映画館の前で初対面だったから、何だか不思議な感じだったな。
映画のほうがシュールで、かなり暗い映画も多くて、若干辟易。
映画観が変わる映画というのが売りだったようだったが、確かに映画観が変わってしまう可能性を孕んでいたね。

僕はもう少し、明るいものが観たいなとつくづく思ったよ。
表現するのは自由だけど、あまりに重いものを投げつけられるとちょっと困ってしまうよね。

映画を観た後、Mさんとも合流してリゴレットのソファでワイン飲んで、ピザやらパスタを食べた。
なんだか、気持ちのよい夜だった。
| 映画| 23:14 | comments(0) | trackbacks(0) |

m10014「瞳の奥の秘密」 変わることのない想い ★★★




アカデミー賞外国語映画賞に輝いた、フアン・ホセ・カンパネラの作品。

人の心の機微を丁寧に描いた素晴らしい作品だった。
25年前の無残な殺人事件の謎が解けていくに従って、また、殺人事件を扱った小説がまとまっていくにつれて、主人公も自分の本当の気持ちに向かおうとしていく。

この映画では、人の気持ちは簡単に割り切れるものではなく、その人の核となるものは絶対に変わることはないということを示している。
だからこそ、人は過去のことを簡単に忘れることもできず、苦しむ。
だからこそ、真実の愛というものが存在する。

そんなことを考えさせられた映画だった。


映画のあとは、西国分寺まで移動してクルミドコーヒー(とてもいいカフェ!)でお茶した。

| 映画| 19:21 | comments(0) | trackbacks(0) |

m10013「インセプション」 夢の重層のアイディアは面白いが・・ ★★


映画の日に仕事帰り、妻と待ち合わせて、クリストファー・ノーランの「インセプション」。
ノーランらしい重層的な世界観とアクション、CGの創りだす世界は素晴らしいが、そもそもの渡辺謙が持ち込むミッションの必要性がわからない。
ミッションの必要性がいかほどかわからないまま、次々と夢の世界の下層へ移っていき、それは最後まで明かされない。
ライバル企業をもってくるなら、それこそ失った愛を取り戻すといったことをミッションにもってきたほうが共感できたのではないのかなぁ。
まぁ、映画の日に仕事で凝り固まった脳細胞をほどくにはちょうどいい映画だったと思います。

帰りは、吉祥寺のカフェ・ユッカに久しぶりに立ち寄って、ソファでのんびり。

| 映画| 23:14 | comments(0) | trackbacks(0) |

m10012「第9地区」 社会派ドラマ仕立てのSF映画 ★★★


ニール・ブロムカンプの「第9地区」は、エイリアンの登場するSF映画であるが、ドキュメンタリータッチを盛り込んだのが斬新。
また、エイリアンの居住区問題という、ありそうだけど絶対ありえない社会問題をテーマにしたところは、それがエイリアンにとどまらず、普通の難民問題の延長として諧謔的に観ることが可能だろう。
主演のシャルト・コプリーの凡庸で軽薄な感じの前半演技と深刻さの伴ってくる後半演技の使い分けが上手い。
それでいて、随所で失笑を誘うようなところがよいですね。
まったく予想だにしていなかった展開が続き驚かされます。監督のイマジネーションとそれを映像化してしまったところに敬意です。


| 映画| 23:44 | comments(0) | trackbacks(1) |

m10011「9(ナイン)〜9番目の奇妙な人形〜」



休日の仕事を終えてから、飯田橋でシェーン・アッカーの「9」。
ティム・バートンが参加しただけあって、映画の作りが細かく、マニアック。
次々と敵が襲ってきて、展開が変わっていくので、飽きることもない。
テーマ自体はあまり深堀りしすぎずに流した感じがしたよ。

| 映画| 23:41 | comments(0) | trackbacks(0) |

m10010「借りぐらしのアリエッティ」 活き活きとした小人の世界 ★★★


ジブリの米林宏昌の初監督作品を観てきました。
メアリー・ノートンの「床下の小人たち」のアニメ化ということで、僕も小学生くらいに(この3部作だったかな)読んだことありました。
「ゲド戦記」も同じような岩波から出ていた児童文学でしたから、今後はアーサー・ランサムのヨットシリーズやリンドグレーンの諸作品なんかも映像化されることがあるかもしれませんね。
僕は岩波から出ていたシリーズはすべて大好きでした。

さて、この映画は小人の世界を捉えていて、木の蔦をするする登ったり、家具からロープ使っておりたりといった動きが素晴らしかった。自分もあんなふうに、ちょっと身の軽いクライマーという感じだけど、登ったり降りたりできるんじゃないかなって錯覚しました。
世界の感覚が新しく、またストーリーもこの先を予感させる終わり方になっていて、よかったです。

気になったのは、主人公のセリフですね。
君は僕の心臓だ、とか、いつか君たちは絶滅するんだ、とか、ちょっと唐突過ぎたような気もしましたね。
そして少年の心臓の手術がどうなっていくのか、彼がそれを乗り越えて生きていけるのかどうか、そのあたりを曖昧にしてしまいましたね。
ただ、そんなところも含めても、よい映画でしたね。


今日は、sajilo cafe→アリエッティ→カフェアマルということで、吉祥寺でのデートとしてはよかったです。
| 映画| 21:26 | comments(0) | trackbacks(1) |
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