b09010「ハイエク 知識社会の自由主義」 自生的な秩序を尊ぶ先見性のある経済・思想家ハイエク ☆☆☆
ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)
ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)
池田 信夫

久し振りに、経済や思想についての本を読んでみた。(たまに読むと面白いものですね。)
筆者の池田氏は経済を大学で学び、NHKを経て、大学の教職につかれていて、ブロガーとしても異彩を放っている方だ。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo

内容も経済と思想、ネットワーク、生物学まで入り込み、学問境界を苦にせずに、ハイエクの思想を紹介する。
池田氏と同様に、ハイエクもまた経済学にとらわれず、思想や心理学といった広いフィールドを相手にしていたようだ。ひとつの領域にとらわれないからこそ、先見性のある新しい概念を打ち立てることができたのかもしれない。

ハイエクの経済への考え方は、政府等がコントロールするものではなくて、市場経済(市場の自生的秩序)に任せることに重点をおくものであり、公共事業を起こして雇用と消費をコントロールしようとするケインズの考えやマルクスの社会主義の考えには抗するものだった。(ハイエクの活躍した時代にはケインズ理論や社会主義がそれなりにもてはやされていた時代だったから、そこに対抗するというのはすごいことですよね。)
ハイエクや同系列のフリードマンの市場経済主義的な考えは、イギリスのサッチャー政権やレーガン政権での小さな政府志向へとつながり、大きな成果があった。また、日本の構造改革もこの流れの先にあるものだと思う。

ハイエクの自生的秩序が生まれるという考え方は、ニューロンの考え方にも似ているようだ。より使用するニューロンが強化されるという考え方だ。これはハイエクの亡くなった1992年以降に興隆したインターネットのルールと近いと筆者は指摘する。つまり、先にルールがあるのでなく、ルールやらコードやらが日々更新されていくという形態である。また、そうしたインターネットのような技術開発はフラットな状態から個人レベルで進んでいくものであり、国が音頭をとってプロジェクトを起こすのは時代錯誤であると文部科学省や経済産業省の大プロジェクトを批判している。

ハイエクは大変先見性のある経済学者であり思想家であり、現実社会が彼の思想に追いついてきたと筆者は言う。そのため、21世紀にはいって、ハイエクの思想はより振り返られることになるだろうということだ。ハイエクの入門編としては最適な本なのではないでしょうか。

個人的には、自生的秩序の進化のところで、ドーキンスの利己的遺伝子やハミルトンの思想が、必ずしも当てはまらない例があること(細菌が利己的に繁殖すると宿主自体が倒れてしまう)をあげて、あるところでは利他的である必要性を説いているのが興味深かった。また、定住した部族社会では利他主義的な行動をとらないと生き残れないということがあって、そこから離脱する利己的な者へは冷たいといった例から、自生的秩序の形成は利他的なものなのではないかということを示唆していた。
これは利他的な市民主義や、あるいは社会起業家的なモデルへの発展を意味しているようにも思えて、興味深かった。(僕は思想家でないので、それ以上に思考を広げようとは思わないけれどね。)

まま、読み違えている箇所もあるかもしれないけれど、たまに別ジャンルの本を読むと、脳が活性化しますね。


| 読書(経済学)| 10:30 | comments(0) | trackbacks(1) |
Comment








Trackback
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
- | at: 2009/04/26 9:21 PM

Entry: main  << >>

Category

Search

Entry

Comment

Archives

Link

Feed

Others

無料ブログ作成サービス JUGEM

Mobile

qrcode