b09011「サステナビリティ経営」 ストックの循環利用が求められる時代の経営のあり方とは ☆☆☆
サステナビリティ経営 (講談社BIZ)
サステナビリティ経営 (講談社BIZ)
三橋 規宏


なぜサステナビリティ(持続可能性)が経営に必要とされるのか、といった観点から入って、サステナビリティを行っている実例に落とし込み、企業価値が株主価値にとどまらずステークフォルダー全部に価値を提供しなければならないものであるというところにまで落とし込むという構成であり、大変わかりやすい。

冒頭はなぜサステナビリティが今必要とされるかについて説明されていて、地球の資源は有限であって、従来の大量生産大量消費型では早々に限界に達してしまうという観点で捉えている。

そこで必要な学問としては「経済学」は環境許容限度やストック、資源制約といった観点では限界であり、そうした概念を網羅できる「環境経済学」がこうした問題を解決できる学問であろうとしている。

ここで提示している重要な図が、自然の利用と社会的公正(生活の満足度)の二軸で示されているもんので、大量生産の時代に満足度は上がっていくがどこかで限界となって、あるところで満足度は下がっていってしまう。
つまり自然の利用には満足度が極大化する「環境許容限度」(B点)が存在していて、既に我々はそのB点を超えているという考え方だ。
そのため、これまではフローを利用していたが、今後は今あるものを循環利用するストックの考え方が重要になるという。

ストックの考え方として、自然資本活用の3原則があり、ここでは|六挫肋辰慮饗А↓∧散型エネルギーの利用、G儡物の地域内処理を挙げている。

このあたりの環境マネジメントの思考のプロセスは、よくまとめられていてわかりやすいが、割と一般的なところであると思う。

サステナビリティ経営の実例に挙がっていた「伊那食品」は素晴らしい会社のように思えた。
無理のある成長を追い求めず、気の年輪のように少しずつ育つ会社を目指すといった、とても誠実な経営を行っている会社だ。
また、そうした会社の経営は、株主ばかり見ていてはできない経営であることもうなずける。一般に株式会社は企業価値を高めることが最大の目的であり、それにはファイナンス的に事業によるフリーキャッシュフローを最大化してWACCを小さくすることが肝要とされていて、それでは投資家(特に株主)ばかりを見ることになってしまう。
それを避けるには上場しないというのも一つの判断なのだろう。
また、伊那食品のような無理をしない成長というのも斬新に思えた。なるほどがむしゃらに成長することだけがすべてではない。少しずつの成長でもステークホルダーすべてに愛される会社のほうが確かに素敵なわけだ。


(参考)プレジデント08年12月号の塚越寛会長へのインタビュー
http://president.jp.reuters.com/article/2009/01/16/AFC213AC-E202-11DD-9F4A-D0293F99CD51.php
私が大事にしていることは3つある。それは時間軸、公、「利他」ということ。

まず時間軸だ。私は常に会社の永続を目指すと社員に話している。会社が長く続くために急成長は必要ない。
 屋久杉の年輪をご覧になったことがあるだろうか。年輪はものすごく細かい。屋久杉は低成長だからこそ、6000年も生きていられる。会社も同じ。1年の成長が少ないほど長生きできる。

(略)

時間軸ともうひとつ大切なのは「公」を意識すること。うちには「仕入れ先を大切にする」「町づくりをしっかりやる」といった決めごとが10カ条あるが、その精神は、公を意識しながら会社を運営していくことの大切さだ。公を意識することは、すなわち自分自身の行動を客観的に眺めることにつながる。経営者や上司が公の意識を持ち、大きな視点で行動していれば、おのずと社員たちとのつきあい方にも節度が出てくる。

最後に、人間関係をよくするために何をするかと問われたら、答えはひとつしかない。それは利他ということ。自分だけの利益を追求するのでなく、他人も一緒に幸せになろうということ。私にとって利他の対象はまずは社員だ。

むろん、人生にはつらいときや苦しいときがある。でも、そんなときは「自分は小説の主人公なんだ」と思い込めばいい。そして、「小説のなかで今はつらい時期だ。しかし、この小説(人生)は必ずハッピーエンドで終わる」と考えれば、乗り切ることができる。



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