b10010「横道世の介」 呑気さこそが社会を明るくする ☆☆☆
久しぶりの小説読み。
吉田修一さんの新作。

はじめ、大学生の話と知って、三四郎のような小説を想像していたのだけれど、そんな身構えたものでもなく、主人公の横道くんは普段たいして何も考えていないような大学一年生でしかない。
であるのに、この小説は読ませる。
たぶん、この横道くんというのが平凡な大学一年生であるがゆえに、多くの人にとって自分の学生時代とオーバーラップするからではないかと思う。
横道くんのことを知っていたわけではないのに、なぜか懐かしい気分になるのはそういう仕掛けだからだろう。
そして、エンディングにはしみじみとした余韻が待っている。

大学一年生のもっている呑気さは、特権なのだろう。
その特権を社会で分別がついていくとどこかで僕らは失ってしまうんだろう。
横道くん自体も、長崎から上京して1年して、彼のもっていた「隙」がなくなっていると隣人は指摘している。

横道くんの良さは、呑気さをベースに存在している人や社会への信頼感や+思考だと思う。
人は社会で働いているうちに、呑気さという特権を失っていって、なぜか信頼感や+思考まで失ってしまう。
この本は、人を信頼しようとか、+思考で飛び込んでみようとか、そういった感情を湧きあがらせてくれる。
| 読書(小説)| 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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