b10032「スティルライフ」 宇宙と交信できたら現実など煙のように消えるのにね。 ☆☆☆
久しぶりに池澤夏樹さんの小説を読み返してみた。
山登りの帰りの電車で読み始めたのだが、その前に見た岩山や広い空や雨粒がまだ僕の眼に残っていて小説世界が身体にすぐになじんだ。
それにしても、素晴らしいストーリーの始まり方。
飲んでいて、科学の話を軽い感じで話すことのできる佐々井という人に惹きつけられる。
こんな人、ほんとに世の中にはいないよね。
この本を初めて読んだ10代の頃には佐々井のような人が存在する世界があると信じていたけれども、実はそうではなかったように最近思う。
本業の科学者ですら、ここまで純粋に自然や宇宙を観察しているとは言い難いのではないか。
科学の神秘を静かに話せる男など、どこを探してもいない。ある意味、浮世離れしていて、世界への諦観をもっている。
それだけ、世界は現実的に生きることを僕らに強いているように思う。

ただ、僕はそれでもこうした世界があるように思うんだ。
山登りの帰りだからか、そんなふうに思えたのかもしれないけれど。

宇宙と交信できる技術があれば、あぁ僕らはきっと楽に生きれるんだろうね。
だって、世界のリアルさを正面から受け止めなくてよいからさ。
(でも、受け止めることも必要なことを僕は一方で知っているんだ。)

| 読書(小説)| 22:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
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