「哀しい予感」 演出に不満は残るが、描いている世界は好き
下北沢の本多劇場で塚本晋也の「哀しい予感」
http://www.umegei.com/s2007/yokan.html

吉本ばなな原作を忠実にだどっていて、小説に近い感覚を与えることに成功している。
役者も市川実日子(とても可愛い)に加瀬亮と、明らかに適役で問題のない方を選んでいて、役者もそれに応えている。

ただ、以下の点が不満だったかな。
・本多劇場の設備上の限界なのか、照明や音響がよくない。明らかに他の劇場に劣っていて、かなり苦しい。特にピアノが物語のキーを握っていくのに、音響がひどい。
・塚本晋也の演出がいまひとつ。原作に忠実すぎて、彼でしかできないオリジナルなものがない。小説と同じ感覚を与えることばかりを追求していて、それを超える何かがそこにはない。
・原作に忠実である以上、叔母・ゆきの役が奔放で魅力のある人間として描かれなければならないのだが、藤井かほりさんがそこに合っていない。もう少し、奔放なイメージの役者をキャスティングしたほうがよかったのではないか。
・舞台づくりも今ひとつ。ベランダの大きさが明らかに、台詞と合っていない。オオサンショウウオが仰向けになっているみたいだ、という台詞があるのだけど、それには明らかに狭い。どちらかを合わせるべきで勿体ない。
散らかった部屋にしても、もっと違う形で表現することは可能。舞台美術という概念自体が欠けていたようにも思う。他の舞台と比較すると、そこが大きくマイナスだった。

演出が抑えられている以上、役者の演技に注目するしかないわけだが、市川さんは透明感のある演技でよかった(彼女の雰囲気が僕的に好きなので少し肩入れしてしまっているかもしれない)。もともとの顔立ちなのかもしれないけれど、目の部分に力があって(眼力がある)、観客に向いて話すシーンは印象に残った。
加瀬亮さんは熱くなって台詞を言い淀んだシーンが数回あったけれど、僕的に好きな役者なのでまぁよかった。何より、原作の雰囲気をもっている方だと思う。
礼儀正しい青年役の奥村知史さんが意外に舞台の空気をつかんでいた。礼儀正しい役以外の演技も観てみたくなった。

吉本ばななさんの世界は、もともと自分自身もそういう世界の一員でありたいと思っていたから、郷愁的なものがあったし、あの世界がほんとうに続いているのならば、僕もそこで生きたいなって思ったよ。

| 観劇| 21:02 | comments(0) | - |
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