b08033「官製不況」 規制によって不況を生み出す愚かさ ☆☆☆
官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか
官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか
門倉貴史

経営学の中で外部環境の影響度を検討する際に使うフレームワークとしてPEST分析があるのだが、ここで扱っている官製不況とはまさにP(politics & low)に当たるところの話である。
法制度の規制や規制緩和は、実際のビジネスに大きな影響を与えている。この本では、最近の日本における数々の「規制」が実際のビジネスや経済への動きをあまり考えずに行なわれていることを言及している。

記憶に新しい「改正建築基準法」施行により住宅市場が低迷したり、「改正化資金業法」や「日本版SOX法」、携帯市場への規制など、日本が官の力で起こしている法規制が不況を起こしているということだ。構造改革を進めるといって既得権益を排除しようと口では言いながら、最近は逆流しているとも考えることができる。無論、法規制自体は重要なのだが、その匙加減というものにもっと注意を払う必要があるということなのだろう。

また、官製不況と関連するテーマとして「ワーキングプアの問題」、「年金財政」、「サブプライム問題」を取り上げていて、一読の価値のある内容だった。(門倉さんは物事を咀嚼して整理するのがとても上手い。)

ワーキングプアの問題では、グローバリゼーションによって途上国で生産された安価な商品が入ってきて賃金抑制の方向に向かっていることと、IT化によって非熟練労働者が余剰となっていることが挙げられている。一方で最新のITを使える高度な技術・開発力を持つ人のニーズは強まって、そういう人への賃金上昇となるので、格差はこの先拡大することは間違いないだろうということになる。

この問題を解決するヒントとして、イギリスの例が挙げられている。
サッチャー→メージャーと続いた構造改革路線を継承したブレア政権では、所得格差の問題にも踏み込んだそうだ。99年に最低賃金制度を導入し、個々の労働者のスキルアップを実現するために教育改革や職業訓練制度の導入も行なっている。これによって、若年層の職業能力が高まり、雇用のミスマッチが解消したのだという。また、近年ではベーシック・インカム(基本賃金を保証すること)やベーシック・キャピタル(基本資産を保証して、各自のライフスタイルに配慮する形で、一回に給金を行なうこと)といった考え方も出てきているそうだ。
| 読書(経済学)| 07:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
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