b08057「ムハマド・ユヌス自伝」 世界の貧困問題に解決の糸口を見出した社会起業家の自伝 ☆☆☆
ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家
ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家
Muhammad Yunus,Alan Jolis,猪熊 弘子

社会起業家の先駆けともいうべきムハマド・ユヌス氏の自伝を読んでみた。
バングラデッシュ人でグラミン銀行の総裁であり経済学者でもある。2006年にはグラミン銀行とともにノーベル平和賞を受賞している。

彼の強烈な問題意識は、貧困にあった。
世界で行なわれている援助も施しのレベルになってしまい、それでは貧困層は自活できないという考えがあった。

<<施しは、資金を受ける側に破壊的な効果をもたらすのである。多くの場合、施しを受けた人間は、自らの生活を良くしようとする意欲とか、病気を治そうとする意欲を失ってしまうのだ。>>P.53

では、どうしたらよいかと考えたとき、彼はマイクロクレジットという手法を考えついた。貧困層に利子をきわめて低くして、事業用にお金を貸し出すという方法である。これまで、銀行はそうした貧困層を始めからお金を貸す相手に想定しておらず、門前払いであった。また、金貸しは高利貸しであり、とりあえず相手からお金をふんだくってしまっていた。

<<貧しい人たちの要求を満たせるような公式な機関がないから、クレジット市場では債務不履行が起こり、その結果、金貸したちは市場を乗っ取ってしまい、ますます私利私欲を追求するようになってしまっているのだ。こうして多くの人が、貧困への道をまっしぐらに進まざるをえなくなっているのである。
 大勢が貧困に陥ってしまうという状況を食い止め、そして一方通行的にただ貧困へと陥っていくのを防がなければならない。経済構造が整備され、双方向への流れが生まれれば、そうしたことが可能になるだろう。>>p.122

そうして生まれたのが低利子で貧困層の特に女性にお金を貸すグラミン銀行である。
無論、始めからスムーズにこの取り組みがうまくいったわけではない。地道に一歩ずつ一歩ずつ、問題を解決することで、社会に定着できたわけである。
貧困層も事業のアイディアをもっており、資金提供によって、うまくまわるのだという切り口がまず素晴らしいし、どんな困難にも立ち向かってそれを遂行した姿も素晴らしい。

<<「貧しい人々はとても創造的なんです。どうやって生活費を稼ぐか、それでどうやって自分の生活を変えればいいのかを知っています。彼らに必要なのは、ただその機会なんです。クレジットによって、その機会が与えられるんですよ」>>p.266

<<貧困は、貧しい人たちが作りあげたものではない。社会の構造と政策によって作り上げられたものである。私たちがバングラデッシュでしてきたように、その構造自体を変えていけば、貧しい人々が自分たちの暮らしを変えていけることが分かるだろう。グラミンでの経験が教えてくれるのは、金融資本の面で支援してやれば、それがどんなに小さくても、貧しい人たちは自らの暮らしに、とてつもない変化を引き起こすことができるということだ。>>p.279


読み応えはありますが、凝り固まった思考が転換できる契機になる本だし、正しい手法と誠意をもって取り組めば、世界の問題を変えることだってできるのだということを教えてくれる本です。
| 読書(社会起業家)| 06:07 | comments(0) | trackbacks(1) |
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